富士吉田市のホテル鐘山苑では、日量約300kg~800kgの生ゴミが廃棄され、週数回、廃棄物処理専業従事者1人に処分を委託していた。これまで同ホテルでは、プラスチックや空き缶のリサイクルはおこなっていましたが、生ゴミについては、水切りするだけで、地元の自治体に処分を自社トラックで運搬し、委託していました。
その後、本生ゴミ処理装置を導入し、廃棄される生ゴミの分解消滅した後の分解水を発酵・熟成させて、液肥の製造に取り組んでいます。
従前の本生ゴミ処理機により生ごみを分解消滅させたあとの分解水を、さらにバイオ発酵生ゴミ液化装置を使い乳酸発酵及びアミノ酸発酵させ24時間で液肥が完成する仕組みで、日量平均500kgの製造を目標にしています。
液肥の製造は、通常の堆肥製造よりも労力・スペース・異臭等も圧倒的に少なく、宿泊客相手のホテルとしても自社の敷地内に本生ごみ処理機と併設する形で、製造が可能となっています。
また、製造された液肥で農家が米・野菜等を有機栽培し、同ホテルが食材として利用すること
で、良食味だけでなく、食の安全、地産地消、食と農の循環が図られる仕組みを目指しています。
(1)生ゴミ処理システム
ホテル内から日量300kg~800kgの生ゴミが発生し、ホテル敷地内の生ごみ処理機に投入。
生ごみ処理機から液肥のもとになる生ごみ分解水が発生します。
(2)生ゴミ再生液肥の利用方法
生ゴミ分解水からバイオ発酵生ゴミ液化装置により製造された液肥は、農薬を使用せずに有機栽培することを条件に賛同した農家等に格安で提供し、生産された米・野菜等を購入し、ホテルが食材として利用しています。
取組の成果としては、「バイオ発酵生ゴミ液化装置」を導入してから2か月の段階で、液肥は日量100kgを製造できるようになり、市内の農家や同ホテル従業員ら約10名が完成した液肥を田畑に使用して土壌改良を進めた結果、液肥を使用した農家のお米の品質が大きく改善されました。
その後、お米の全国品評会で金賞を受賞するまでの成果を得ています。